2010-01-11

キャピタリズム マネーは踊る

マイケルムーア監督の最新作、「キャピタリズムマネーは踊る」を早速観にいってきました。

今回の映画もどちらかというとドキュメンタリーという感じですが、彼流のブラックジョークもあり、楽しんでいい作品ではないのでしょうが楽しめた2時間でした。

楽しんだ反面、もう一度しっかり勉強しなおさないといけないなと感じたことも事実です。

映画の題名「キャピタリズム」は日本語に訳せば資本主義ですが、映画のなかで「資本主義」、「社会主義」、「民主主義」という言葉がいたるところに出てきます。この言葉、正確に意味を言えといわれるとなかなか心もとないところがあります。しばしば社会主義と民主主義は反義語に使われますが、じゃぁ資本主義の反対派なんなのか。もっと言うと、「共産主義」という言葉もあります。それぞれがどういった体制を示す言葉の意味なのか、改めて考えるとよくわかりません。これまでの経験則だけで経済政治運営をやっていくことは困難であることは自明ですが、だからといってこれまでの経験則を全く無視しても新しいことは何も思いつきません。やはりこれらの言葉の意味はしっかりと咀嚼する必要がありそうです。ちょうど「ぼくらの頭脳の鍛え方」を読んでいるから余計にそのように感じるところがあったのでしょう。

これまでのマイケルムーアの映画と同じで今回もブッシュ批判がちりばめられているのは間違いありませんが、今回は資本主義批判でもあります。サブプライムローンの原因を作ったといわれる投資銀行への批判映画ですから当然なのですが、資本主義(言葉の意味がはっきり理解できていないからそういうことにしておきましょう)でしか生活していない私にしてもムーアにしても、それ以外の経験がない上に、資本主義の世界で生きてきたうえでの今の主張だったり訴えだったりするわけですから、一方的な資本主義批判というのはいかがかなと感じた部分もあります。借り入れている金融機関からの一方的な執行で家を失う人の話も出てきましたが、そもそも借入の担保に自宅を差し入れれば状況が変われば差し押さえられるのは自らわかっていたはず。日本のようにそこに説明責任等がどのように果たされたのかは全く映像には出てきませんでしたが、あくまで自己判断という感覚が一応あるであろう私の感覚からすると、それもやむなしという印象もあります。

投資銀行はレバレッジを効かせて大きな信用創造を作ったわけですからそれはそれで間違いではなかったはず。行き過ぎたことと歯止めが掛からなかったことが問題ではないのでしょうか。それはブッシュ政権が規制緩和したことも問題でしょうが、バンカー自身がブレーキを掛けられなかった、バンカーの人間性の問題でしょう(目の前に需要があるものを断る難しさは十分わかりますが)。

過去から続く経済体制のなかで仕事をしている私たちにとって、これまでの経済体制を考え直す必要がありますし、これからどのように向かっていけばいいのかをもう一度考えさせられる映画でした。

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