2012-04-10

恩師からの贈り物

私が今の会社に入社して最初の支店での2人目の支店長が、嘱託を終えて3月31日に正式に退職された。勝手気ままな私の行動を「外っておいてくれた」彼はその支店を最後に本部に入られその後も仕事でつながりは続いていたが、私が4年間外国為替の部署に在籍していた際は、ほとんど年賀状のみのやり取りであった。4年ぶりに営業店に戻った私は、その間に民放の改正で連帯保証人契約の内容が変更になったり、円滑化法はできるわで激動的に変化した仕事内容についていけず、資産査定の部署に在籍していた氏には大変お世話になった。

その彼が退職間際に私に連絡をくださり、「仕事で使っていた本を引き取ってもらいたい」とのことであった。「歳はとってるけど本は最新のものだよ」とはいかにも彼らしい。

仕事の都合で本部に行く時間が取れたので、その際にお会いし本をいただいた。

いただいた本は小説の類いも含め40冊以上。そのほとんどが金融実務書で、その中には私も書店で狙っていたが、欲しい情報の一部だけにこれだけのお金は出せないなと躊躇して購入していなかったものも含まれており、大変うれしかった。

更にうれしかったのは、数冊ではあるが私も所有している本があったこと。「かぶってしまったな」という思いは全くなく、妙に感慨深いものがあった。実務書であるものの、そこで繋がっていたということが何となく琴線に触れた気がしたのだ。

嘱託といえば年金受給開始までのつなぎ期間的なイメージがあるが、彼は常に最新の実務情報を入れていたわけで、とてもじゃないが私が追いつけるレベルではない。その姿勢に感服もした。

私の時間の都合で30分ほどしかお話ができなかったし、後日行われた送別会も体調不良で欠席してしまったので大変申し訳なかったと思っている。元々山に登るのが好きな方だったので、そちら関係の何かをお返しとして送りたいと思う。

いただいた本の一部だけご紹介しておこう。


支店の実務ではそれほど必要ないのかもしれないが、償却や引当の方法の考え方は資産査定を行う上で当然必要な知識であって、会社全体の資産査定を俯瞰的にみるには必携の1冊。


私も所有している1冊。取引先に「経営改善計画書」の作成したところで、申し訳ないがそれは絵に描いた餅。そもそも中小零細企業のほとんどは赤字経営で、経済変動(大企業の予算も含めて)に振り回されるそれらの企業に5年先、10年先の計画をだせという方がどだい無理な話である。しかし金検マニュアルで作成が義務づけられている以上仕方がない。本音と建前的ではあるし、かなりな語弊があるが、「つじつまの合うウソ」を知るには大変便利である。


私が営業店に復帰して最初に購入した本。本部在籍時に企業会計原則が変更になっていて、慌てて購入したもの。資産査定を行う上で、一番利用した本である。彼も同じだったようで、一番使ったと言っていた。


こちらも営業店実務ではまず必要ではないが、金融機関職員としては銀行決算の仕組みを知る上で便利な1冊。これは私も初版本をブックオフで購入している(当時の共著者の一人はこちらの方)。


元銀行員作家の作品は結構読んでいる方だと思うが、なぜか池井戸潤さんだけはさけていた(特に理由はないが何となく)。「下町ロケット で直木賞を受賞されてそれを読んで以来、少し読んでみようかなと思っていた矢先、4冊いただいた。


以上、ほんの一部であるが、彼の会社人生の最後の飾りづけに使われたこれらの本を、私は大事に使っていきたい。

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