2012-04-13

思考を一度全部外に出してみよう。


本書の第4章「アイデアをなくさない情報整理法」の第12項は「頭の外に追い出すことの大切さ」である。
仕事の効率を上げるためには思考、考えていること、アイデアをどんどん外に追い出す必要があると著者は言う。また、レオナルド・ダ・ヴィンチやトーマス・エジソンも実際にそのようにして思考を整理していたようだ。エジソンは少年時代からつけていたノートは3,500冊にものぼるらしい。そして困難にぶつかった際は常にこれらのノートを見直していたようだ。書き出すことによって思考が明文化されること、思考を一旦クリアにできる。本書ではごちゃごちゃになっている頭の中を一掃することで、次の新しい情報や思考が生まれることがでいると行っている。これは仕事のことから家庭のことまで全てに共通する。これが現代では3,500冊のノートではなくてEvernoteでできるわけだ。

Googleの各種サービス、Evernoteやdropboxなどクラウドサービスは無料である程度利用できるものが多くなってきて、それに関する書籍も相当数ある。私もGメールは招待性ではなくなってすぐに使用を始めたし、Evernoteも登録をした。GメールはメールをPCに取込んでハードディスクの要領を取られるのをさけたかったこと、Evernoteはエディタとして、その目的として使用してきた。

クラウドに関する本はクラウド全体としてもあるし、またサービス毎に様々な書籍が出版されているし、ウェブサイトにも利用方法についてのアナウンスはいくらでも見つけられる。私はこれまであまりそういった類いのものを見てこなかった。えてしてこれらの著述物はライター専業者が執筆したものが多く、私自身の仕事と私生活の利用へ結びつくイメージが掴めなかったからだ。

本書の著者はブルーバックスだけあって、独立行政法人の研究者だ。つまり、実務者としてクラウドをどう評価し、利用しているかの視点で書かれている。私の会社のネットワークはほぼ完全に外部からシャットアウトされているので、会社でこれらのクラウドを使用することはできないが、私生活においても十分に役たつ情報が多い。

例えばGメール。これは以前から使用しているが、ラベルやアーカイブがうまく利用できていなかった。急を要さないものについても他のメールに埋もれるため検索を多用していたが、ラベルをうまく使うことで検索がより効率的になる。また、検索に論理条件が入れられることも初めて知った。早速全てのメールを整理し、既に終了したものは削除(本書では勧めていない)、またはアーカイブへ落とし込んだため、受信トレイは数通のメールが残っているだけで極めてシンプルになった。

次に早速導入したのがdropbox。こちらも会社のファイルを持ち出すことができないためこれまで使用していなかったが、これを機に利用することにした。1つはバックアップ目的。もう1つは、これまでCD以外の音声データも全てiTuneを通して聞いていたが、iTunesのフォルダが煩雑になったりしてPCを入れ替える時に苦労した経験がある。音楽データでないものはいつでも何もiPodで聞く必要もなく、dropboxに入れてスマホやタブレット付属のプレイヤで聞けば言い訳だ。これで音声データの整理がだいぶ楽になる。

上記2サービス以外にもGoogle Documentsや論文参照支援のクラウドなども紹介されていて、まだまだいくつかはプライベートにおいても利用できそうだ。

本書の第7章第1項のタイトルは「意外に悔いれない「細かい時間」の節約」である。細かい時間の積算が数日単位の時間を生み出すことができる。本書で紹介されているクラウドサービスは執筆時に著者が「時間の節約になるか」という視点で厳選されたものである。それら全てが読者全員に適用されるわけではないし、クラウドの利用に拘りすぎて逆に時間を浪費するようでは本末転倒であろう。その辺り、自分自身により適した利用方法を私も自分なりに探していきたい。

『理系のためのクラウド知的生産術』メール処理から論文執筆まで 堀正岳 講談社ブルーバックス

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