2012-02-19

数学の天才、コンピュータ技術者、そして営業マン 池田敏雄


海外ドラマDVDはどうしても連続してみてしまってきりがない。ついつい夜更かしをしてしまうので体にはよろしくない。

図書館に行ったらちょうど以前NHKで放送されていた『プロジェクトX』のDVDがあったので2枚借りてみた。

1枚はテレビの放映でも観たし、それをビデオにとって何回も繰り返しみた富士通のFACOM開発責任者であった「池田敏雄」の話だ。

数学の天才で富士通に入社。今でこそ富士通といえばパソコンを買う時に候補にあがる有名企業だが、戦後当時は唯の電話機器メーカーだったようだ。業界弱小、といったら今の富士通が怒るかもしれないが、お世辞にも優良企業ではなかったようだ(もちろん、戦後の混乱期にはどの会社とて大変な時期だったはずだ)。その会社内でも特に異彩を放ったのが池田敏雄である。家で夜中まで、というよりも会社に出るタイミングを逃すほど設計図面にのめり込むあたり、尋常な集中力ではない。数学的、技術的に優れていただけではなく、文学、クラシック、囲碁と才能は多彩であったようだ。

文字通り命をかけたFACOMの出荷1週間前にくも膜下出血でこの世を去った男が講演で語ったという次の言葉は、何も電子計算機屋に限った話ではないと思う。

電子計算機屋というのは自分の進歩を止めた瞬間に必ず潰されてしまうんですね。ですから人間は進歩していない限り、本当の生きているという実在感と幸福感はないはずなんです。

何もコンピュータエンジニアにだけいえた話ではなく、営業マンだって銀行員だって、人間誰しも進歩を止めた瞬間に、技術戦争まっただか中だったコンピュータエンジニアのように潰されることこそないにせよ、少なくとも実在感や幸福感はやはりないような気がする。何でもいい、今日はこれができるようになった、これができた、というような小さな達成感を少しずつ積み上げていきたいと思った。

なお、池田敏雄氏についてはこちらの本にも詳しいが、残念ながら絶版である。この番組をみたのが既に10年近く前になると思うが、当時で既に絶版であり、アマゾンのマーケットプレイスで購入したのを記憶している。




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